消費者庁がパブコメ募集中!みんなの力で表示を守ろう!(30.11.8まで)


転送、転載、大歓迎ですが、必ずその際は出典(「サルでもわかる遺伝子組み換え」by安田美絵)を記してください。

元の筆者がわからないと、質問したくてもできずに困ってしまう方がいるようなので、くれぐれもよろしくお願いします。

パブコメ呼びかけ-1重要なんだにゃ

消費者庁が遺伝子組み換え表示制度の改正(あるいは改悪?)に関して、広く国民から意見を募集しています(平成30年11月8日まで)。

この種の意見募集(「パブリックコメント」といいます)で、どんなに多くの国民が反対意見を寄せたからといって、それで政府の方針が覆ったためしはないのですが、だから出しても無駄なのかというと、決してそんなことはありません。

政府は遺伝子組み換えに関する表示をなくしてたまらないように見えます。もし、国民の誰も、政府の方針に異を唱えなければ、今回の制度変更だけでは済まず、次回はさらにひどい改悪がされてしまう危険性が高まります。

それを防ぐためには、今、大勢の国民がパブリックコメントを提出し、遺伝子組み換え表示の拡充を望んでいることを明確に示すことが必要です。

ぜひ、あなたも意見を提出してください!

 

パブコメ呼びかけ-2油にも表示を

現在の表示制度の中で、まっさきに改善すべきポイントは「すべての遺伝子組み換え食品に表示義務を課すこと」です。

現在は油、醤油、液糖、水あめ、コーンフレーク、デキストリンなどなど、多くの食品に遺伝子組み換えの表示義務がありません。

スーパーで売っているキャノーラ油、サラダ油、コーン油、大豆油、綿実油の原料は大部分が遺伝子組み換えなのに、表示がないがために、多くの消費者がそのことに気づかずに買っています。なまじ一部の食品に表示義務があるために、表示のないものは大丈夫、と勘違いしてしまうのです。それこそが、今の表示制度の中のもっとも大きな問題点です。それを改善せずして、他をいくらいじくっても、ほとんど意味がありません。

「すべての遺伝子組み換え食品に表示を義務付けてください」とパブリックコメントで要求しましょう。

消費者庁は「科学的検証ができない(製品の段階では組み替えられた遺伝子や、そこから生成した特殊なたんぱく質が検出できない)製品には表示を義務づけることはできない」などと言い訳していますが、少なくとも油や醤油なら、簡単に原料を検査することができるので、彼らの言い訳は完全に破綻しているのです。

その点も指摘したうえで「最低限、油と醤油だけは、今回すぐに表示義務を課してください」と要求するのもいいでしょう。

パブコメ呼びかけ-3ほぼ遺伝子組み換えでない

今回の表示制度変更のポイントは「遺伝子組み換えでない」と表示してよい要件を「遺伝子組み換えの意図せぬ混入5%以下」から「不検出」に厳格化する、ということです。

つまり、今までは遺伝子組み換えのものが混じっていても、それが5%以下なら「遺伝子組み換えでない」と表示してもよかったのですが、今度からは検査で「不検出」にならない限りは表示してはいけない、ということになりました。

表示要件の厳格化は消費者にとってよいことだ、と思う人もいるかもしれません。

しかし、現実には日本の大豆製品の多くは輸入大豆でつくられており、輸入大豆を使う限りは「0%」や「不検出(まだ確定していませんが、おそらく0.01%程度)」は実現不可能な数字なのです。また、コーンスナック菓子の原料はほぼすべてが輸入で、こちらも「不検出」の条件が実現不可能なのは同じです。

つまり、コーンスナック菓子だけでなく、日本人の食生活に欠かせない、豆腐や納豆、味噌、豆乳などの多くの製品が、「遺伝子組み換えでない」表示ができなくなってしまう、ということなのです。

「遺伝子組み換えでない」の表示を見ることによって、消費者は安心すると同時に、「遺伝子組み換えはきっと危険なものなんだろう」「これには入ってないけれど、他には入っている食品もあるんだろう(だから警戒しよう)」という言外の情報を受け取ります。だからこそ、業界関係者や遺伝子組み換え推進派の学者などは、この表示をなくしたくてたまらないのです。

ですので、この制度変更は消費者のためを装いながら、現実には推進派のために画策されたものだと、わたしは見ています。

しかし最終的には、「遺伝子組み換えでない」以外の言葉を任意で表示してもよいことになったので、今後はそれをわかりやすいものにすることが重要です。

消費者庁は何種類か表示の例を挙げており、事業者はそれを参考に、各自工夫することになります。

わたしたちは消費者として、それらの例の中から、何がわかりやすくて、何がわかりにくいか、意見を表明しておくのがよいでしょう。

わたしは「〇〇%以上遺伝子組み換えでない」と具体的な数字を挙げた表示、または「ほぼ遺伝子組み換えでない」の表示のどちらかにすべきだと考えています。

「ほぼ遺伝子組み換えでない」は漠然としてはいるものの、「遺伝子組み換えでない」よりは若干グレードが落ちるもの、という意味が直観的に伝わります。

別途説明がなくてもおおよその意味が理解できるという点でも、文字数が少なくて済むという点でも、適当であると思うからです。

「ほぼ、ってどういうこと?」と疑問に思う人は、自分で調べればいいでしょう。

パブコメ呼びかけ4-不分別はおかしい

現在の制度では「遺伝子組み換え」と表示するためにも分別流通管理をすることが義務付けられており、それをしていないものはすべて「遺伝子組み換え不分別」と表示されることになっています。

しかし、「不分別」のほとんどは遺伝子組み換えなのですから、本当ははっきりと「遺伝子組み換え」と表示すべきなのです。

分別流通管理をするには、その分余計な費用がかかります。

「遺伝子組み換えでない」作物はその分高い値段で売れるから余分な費用をかけても割が合いますが、

付加価値のない遺伝子組み換えの作物を、わざわざ手間暇をかけて分別流通管理する事業者はいません。

そのことを考えれば、「遺伝子組み換え不分別」のものの実態は、ほとんど遺伝子組み換えであることが容易に想像できます。

また現実に、消費者庁の委託を受けて一般財団法人食品産業センターが国内外の港湾倉庫などで行った調査では

「不分別」大豆のうち、遺伝子組み換えの割合は最大で118%(※)最小で88%、平均105%

「不分別」とうもろこしのうち、遺伝子組み換えの割合は最大で488%(※)最小で199%、平均304%です。

(※ひとつの作物に、いくつもの特性を持つ遺伝子が組み込まれている場合、そのすべての特性を数えてしまうため、100%を超える数字となります)

という結果が出ています。

この数字を見ても、「不分別」の実態は、ほとんどが「遺伝子組み換え」であることは明白です。

ぜひ、みなさんも今回の矛盾に満ちた表示制度変更について、消費者庁に意見を送ってください!

パブリックコメントの概要のページ

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=235080047&Mode=0

意見提出フォーム

https://search.e-gov.go.jp/servlet/Opinion

意見の例

1.わたしたち消費者がもっとも望んでいるのは、「すべての遺伝子組み換え食品に表示義務を課すこと」です。

油や醤油など、組み替えられたDNAやそれによって生成したたんぱく質が残存しない食品についても、ぜひ表示義務を課してください。

書類審査などの社会的検証だけでは信頼性の担保が不十分である、という消費者庁の説明は納得のいくものではありません(EUでは書類だけで信頼性を担保しています)。

また、仮に百歩譲って科学的検証が必要だとしても、少なくとも油と醤油は、工場に立ち入って原料を検査すれば、科学的検証が可能なのですから、信頼性の担保は十分です。それができないと言い張る消費者庁の言い訳は欺瞞に満ちています。最低限、油と醤油だけでも、表示義務を課すのが筋です。

2.遺伝子組み換えの混入が検出されるけれども5%以下、という場合、「95%以上(あるいは99%以上、など、実現可能な数字)遺伝子組み換えでない」または「ほぼ遺伝子組み換えでない」のいずれかの表示がされることを望みます。別途説明が必要になるような表示は無意味です。直感的に理解できる表現として、上記の2例が適当だと考えます。

「分別生産流通管理済み」は「遺伝子組み換え」の文言が入っていないため、何を分別しているかわからないため絶対に不適切です。

また「遺伝子組み換えの混入を防ぐため分別」は、「遺伝子組み換えでない」との区別がわかりにくいのが問題であると考えます。

 

3.「遺伝子組み換え不分別」という表現は何割くらい遺伝子組み換えが入っているのか、直感的にわかりません。現実にはほとんどが遺伝子組み換えなのですから「遺伝子組み換え」に変更すべきです。

仮に「遺伝子組み換えでない」ものが多少混じっていたとしても、消費者がそれで困ることは一切ありません。消費者の誤認が問題になるのは「優良誤認」の場合だけであり、これはそれにはあてはまりません。

「高オレイン酸大豆」など、遺伝子組み換えによる付加価値を売り文句として表示する場合のみ、分別流通管理を義務付けるようにすればいいでしょう。

また、「遺伝子組み換え不分別」の説明として、枠外に「遺伝子組み換えが含まれる可能性があります」と表示する業者がいます。「含まれる可能性があります」という日本語は「含まれない可能性もある」「含まれない可能性のほうが高い」「仮に含まれていても、割合的には少ない」というニュアンスが感じられる表現であり、これは真実ではありません。現実には最低でも9割程度は遺伝子組み換えなわけですから、これは虚偽表示として禁止すべきです。

 

「サルでもわかる遺伝子組み換え」作者、安田美絵
による「超わかりやすい」自然食の総合講座です↓

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