2015年12月11日付日本農業新聞に以下にような記事が掲載された。
~~引用はじめ~~
GM表示
見直しへ来年度調査
参院内閣委で河野担当相 方向性は言及せず
河野太郎消費者・食品安全担当相は10日、遺伝子組み換え(GM)食品の表示について来年度から調査を行い、それを踏まえて改正に向けた議論を始める意向を示した。参院内閣委員会で、生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎氏(東京)への答弁。見直しの方向性には言及しなかった。
GM食品については、国の食品安全委員会が安全性を確認した食品だけが流通できる。大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、ナタネなど8作物とそれを使った豆腐や納豆、みそなどの33食品群に表示義務がある。
河野担当相は「当初予定では、少し先に表示改正の議論をしようとなっていたが、少しそれを前倒しし、できれば来年度から少しそれに関する調査を始めようというふうに思っている」と語った。
ただ消費者庁は「改正、表示義務化ありきの発言ではない」(食品表示企画課)とし、今後の検討のスケジュールは未定としている。
新たな表示ルールを盛り込んだ食品表示法では、GM表示が切り離され検討課題として残る。消費者基本計画では、GM表示や加工食品の原料原産地表示の在り方などの個別課題について「順次実態を踏まえた検討を行う」こととしている。
GM食品の表示は、TPPのTBT(貿易の技術的障害)章に関わる。表示規制を現在より強化することが可能かどうかという山本氏の質問に対し、TPP政府対策本部の渋谷和久内閣審議官は「新たな規制を導入することも、正当な目的で制定される限り問題になることはない」と答えた。
~~引用終わり~~
ずっと放置されてきた遺伝子組み換え表示の見直しに、やっと政府が腰をあげるようだ。
消費者庁も言うように「改正、表示義務化ありきの発言ではない」ことは重々承知しているが、貴重な機会であることには違いない。これを逃したら次はない、との思いで来年は表示義務範囲の拡大を政府に真剣に働きかけていきたい。
(参考:「すべての遺伝子組み換え食品に表示を求めます!」100万人署名)
また、TPPによって表示規制強化ができなくなるのでは、との懸念に対し、渋谷審議官が「問題になることはない」といくら言ってくれても、それを信じようという気にはなれない。新たな規制を導入する際には、利害関係者に意見提出の機会を与えることが義務付けられているからだ。いくら消費者が求めても、「利害関係者」である遺伝子組み換え企業の発言のほうが重視される危険性が高い、と考えるのが妥当だろう。
(TPPのTBT章の影響についての詳細は「サルでもわかるTPP大筋合意その1「食の安全」参照)