中国では「農薬代が節約できる」として、一部の農家の間で遺伝子組み換えのBt(=殺虫毒素入り)米の栽培が、無認可のまま広がっている、と言われています。 国が広すぎて(?)何事にも政府の取り締まりが行き届かない国なので、遺伝子組み換え作物の広がりについては、消費者はみな不安を持っているようです。 そんな中、政府が違法な遺伝子組み換え作物栽培の実態について調査に乗り出しました。今日はロイター記事から中国の遺伝子組み換え事情をご紹介します。 中国は違法に栽培されている疑いのある遺伝子組み換え作物を全国規模で調査を始める。中国政府農業部がウェッブサイトで明らかにした。
この調査は、中国国内でもっとも搾油用大豆栽培の盛んな地域で遺伝子組み換え大豆が発見されたという経済新聞の報告を受けて行われるもの。
中国は世界トップレベルの遺伝子組み換え大豆輸入国である。政府は何十億ドルも研究に費やしながらも、国内での遺伝子組み換え大豆栽培にゴーサインを出してはいない。
しかし、黒竜江省北東部の農家の中には、高い収穫高を求めて違法な遺伝子組み換え大豆を栽培する者がいる、とチャイナ・ビジネス・ジャーナルは今週報じた。
その報告によれば、遺伝子組み換え作物が栽培されているのは黒竜江省綏化市近郊の地域であるということだが、それ以上の詳細は不明。黒竜江省の農業委員会のウェッブサイトによれば、当局でも遺伝子組み換え作物が当地域で栽培されているかどうかの調査を行うという。
遺伝子組み換え作物反対派は、中国農業部の遺伝子組み換え作物試験栽培の管理がずさんであることをかねてから指摘していた。彼らによれば、農家の栽培用に遺伝子組み換え種子が販売されてきたという。
遺伝子組み換え米は中国国内の20か所程度の地域で栽培されていたという情報もある。
黒竜江省は中国の大豆生産の三分の一を産出している。その大豆はタンパク質にとんだ非遺伝子組み換え大豆として知られ、豆腐や醤油などの食品をつくるのに利用されている。
中国は年間約20万トンの大豆を輸出しており、その主な輸出先は韓国、日本、アメリカである。
食品流通網から違法な遺伝子組み換え作物を排除する能力が農業部にはあるのか、という公衆の懸念が高まるなか、農業部は今年前半、開発途上の遺伝子組み換え作物の管理を強化するために、規制の改訂を行っている。
中国国立穀物油脂情報センターが8月に述べたところによれば、港湾の検疫所では、低価格な遺伝子組み換え作物各種の販売を厳しく取り締まっており、輸入大豆の最大の流通拠点である山東省北部では特にそれが顕著だという。
以上、ロイター記事より
http://www.reuters.com/article/2015/09/11/china-soybeans-gmo-idUSL4N11H1WZ20150911
※ ※ ※
日本の豆腐や納豆、豆乳なども中国産の大豆でつくられているものがあります。
最近は中国のイメージが悪いため、豆腐等の原材料欄に「国産大豆」とか、「大豆(アメリカ産)」「カナダ産」などは表記されていても、「中国産」と表記されているものはまず見かけなくなりました。が、原産地が書いていなければ、中国産の可能性が高いと思われます。日本人としても、きちんとした調査と取り締まりを強く求めたいところです。
日本の食べものは中国とは違って安心……そう思い込んでいる人が多いでしょうが、実は日本の遺伝子組み換え作物流通のしくみにも、驚くようなカラクリがあります。表示のしくみを知らないと、大量の遺伝子組み換え食品を摂り込む羽目に……。その状況から脱して、身を守ってもらうためのワークショップと映画上映会を開催します。ぜひ1人でも多くの方のご参加をお待ちしています。詳細は以下のバナーをクリックしてください。