消費者庁の遺伝子組み換え表示制度に関する検討会第5回(9/27)をよく読むと、「表示義務範囲の拡大なし」という結論を出すのに、十分が議論が尽くされたとはとても言えず、大きく2つの問題点が浮かび上がってきます。それを指摘する手紙をここ数日かけて計8カ所に送りました。
代表として、検討会の座長に当てた手紙をここに公開します。
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2017.10.30
東京海洋大学 学術研究院 食品生産科学部門教授
遺伝子組み換え表示制度に関する検討会座長
湯川剛一郎様
〒141-0001東京都品川区北品川5-16-19
ルナ・オーガニック・インスティテュート 安田美絵
電話:03-3443-2991 E-mail:yasuda@luna-organic.org
拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
わたくしは、自然食療法家・社会活動家で、遺伝子組み換え表示の拡大を望んでいる者です。
傍聴できなかった第5回の議事録を読んで、やっと詳しい内容がわかりましたが、それを読んで改めて、まとめ方が拙速にすぎると感じております。
まず立川委員から「科学的検証と社会的検証の違い、またトレーサビリティーとIPハンドリングの違いについての説明と認識の共有をすべき」との提案があったのに、それを待たずに結論を出してしまったことは問題です。
また、今村委員が「一般的な検証ができるという話と監視ができるという話はイコールではない」とおっしゃるのはなぜなのか、その詳細な説明も必要であると感じます。なぜイコールではないのかが、議事録をよく読んでも素人のわたくしにはよくわかりませんし、他の委員の方々の中にもよくわからなかった方は必ずやいたはずです。なんとなく、漠然と、今村委員がそうおっしゃるならそうなのかな、という程度の理解の方が大半なのではないでしょうか。
監視業務とは具体的にどんな規模でどのようにして行っているものなのか、違反があれば必ず刑事告発するものなのか、監視のない規制というのはあり得ないのか、認証には監視はいらないのか、たとえば有機JAS認証の場合はどうなのか、等々、詳しい情報を、ある程度まとまった時間を取って、検討会の場で明らかにする必要があると考えます。
最低限、上記2点を明らかにすることは、検討会にとって欠くことのできないステップです。それを明らかにしない限りは、検討会の結論には正当性が認めらないと考えます。
議事録中に「わたしのほうで強引にまとめてしまいましたけれども」という発言があるように、座長ご自身、「強引にまとめた」というご自覚がおありのようです。食い下がる委員がいなかったのはあまりの強引さに唖然としてしまったのでは、とも推測する次第です。
議題が論点2に移ってからも、松岡委員が「油を使ったものとかそういうのが入るのかどうかというのは、重量的に見当がちょっとつかないのです。それから、砂糖類のようなものを入れるべきかどうかというところは検討する必要があるかもしれませんね」と発言しているのを見ても、話の流れについていけていない委員がいることは明らかです。
第5回検討会の最初のほうでは「複数の論点を行ったり来たりしながら議論する必要があるだろう」という話が複数の委員の方から出ていたことを考えても、第5回の議論を蒸し返すことが不適切とは決して言えず、むしろ必要不可欠なことと思われます。
次回の検討会ではぜひ以下の3点の実行をお願い致します。
① 科学的検証と社会的検証の違い、またEUにおけるトレーサビリティーと日本におけるI`IPハンドリングの違いについての詳しい説明
② 監視業務の実際について、また、規制と認証の考え方の違いについての詳しい説明
③ 上記①②を踏まえたうえで、論点1・2についての再度の議論
ぜひともご高配のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
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ほぼ同内容の手紙を消費者庁の食品表示企画課蓮見課長補佐のほか、検討会委員である松岡氏、澤木氏、夏目氏に送りました。
また、同じく検討会委員である近藤氏、神林氏、今村氏には、上記の内容に加え、それぞれのご発言に関連する部分を強調した手紙を送りました。
(各委員の氏名や連絡先はこちらをご参照ください)