衆院TPP特別委員会で遺伝子組み換え表示が話題に


今日(2016年10月18日)の午前中の衆議院TPP特別委員会では、維新の松浪健太議員が、遺伝子組み換えのことについて、結構突っ込んでくれた。「こんなわかりにくい表示で、国民がわかると思いますか」「食べ物に除草剤をバンバンかけて育てるなんて、科学的に安全かどうかは別にして、生命倫理に反しているとは思いませんか」等。
松浪健太議員が日本の遺伝子組み換え表示もEU並みに改めるべきと指摘したのは大いに評価したい。「日本がEU並みに表示制度を変更しようと思ったとき、TPPが障害になることはないか」という質問もいいが、石原伸晃大臣の「そうはならない」という答えにはもっと突っ込んだ反論をすべきだったのではないか。
2015.11.5「TPP協定全章の概要」
第8章 TBT(貿易の技術的障害)章
○透明性(第8.7条)
各締約国は、利害関係者に対し自国が作成することを提案する措置について意見を提出する適当な機会を与え、その作成において当該意見を考慮すること 等により他の締約国の者が中央政府機関による強制規格、任意規格及び適合性評価手続の作成に参加することを認めること。
これは、日本が表示制度をEU並みの厳しいものに改めようとすれば、それによって損害を被るモンサント社のような遺伝子組み換え企業の代表を呼んで、その意見を聞かなければいけない、ということを意味する。そんな企業の意見を取り入れて、表示制度の改善ができようはずがないではないか。
しかし、これについてさらに調べると、今月にTPP政府対策本部が発表した「TPPに関するQ&A]というものを発見した。
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/qanda/pdf/161007_tpp_qanda_gaiyou.pdf
それによれば、
Q:他国の利害関係者を検討に参加させなければならないので、食品表示等を厳しくすることができなくなるのでは?
A:既存のパブリックコメント募集で義務を果たしたことになるから大丈夫
という意味のことが書いてある。
広く業界や専門家や国民から意見を募集するのがパブリックコメントだが、本当にそれだけで済むのだろうか。
日本のパブリックコメント募集はほとんど形式だけで、否定的な意見を出しても「ちゃんと対策しますから大丈夫です」というような意味のない答えが返ってくるだけ。国民からどんなに多くの否定的な意見が集まろうと、政策決定になんら影響を与えない、というのが常だ。
今まで政府が日本国民の声を無視してきたようにして、モンサント社などの多国籍企業の意見をも無視できるのか。
日本政府の言葉を信じたいが、どうも信じる気になれないのが悲しいところだ。

GMO genetically modified food 3d concept