遺伝子組み換え映画祭報告


2016/12/11日曜日は「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」設立20周年記念 遺伝子組み換え映画祭。

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「パーシー・シュマイザーモンサントとたたかう」

Uターン」

「グローイング・ダウト」

「食の選択」という4作品と、アーサー・ビナードさんの講演があり、地方からの方も含め、150人くらいの来場者で大盛況となりました。

 

わたしにとって初めてだったのは「Uターン」。

遺伝子組み換えの栽培から、在来種の栽培へのUターンは可能だ、という話です。

ルーマニアはもともと欧州でも有数の大豆生産国で、1990年代、遺伝子組み換え作物の流通が開始すると同時にその栽培も始まりました。

ルーマニアは当時EU加盟を目指しており、モンサント社などはルーマニアのEU加盟をトロイの木馬として、遺伝子組み換え作物のEU進出を果たしたい、という思惑があったとみられます。ルーマニア政府は自国が遺伝子組み換え作物を栽培しているということは伏せたままEUに加盟してしまおうと当初は考えていたようですが、そのことが明るみに出て問題となりました。農業大臣の指示で討論会が開かれ、その結果GM大豆の栽培が翌年から全面禁止されることになりました。

翌年からは違法栽培の摘発が始まります。「あなたの畑の大豆が遺伝子組み換えであるという検査結果が出ました」と係員が告げると「俺のどこが悪いっていうんだ!? 働いたからか!? 俺よりその辺で遊んでる奴を捕まえたらどうだ!」などと怒りをぶちいまける農家。しかし、「わたしたちはただルーマニアの農業をよくしたいだけなんです」と係員は辛抱強く説得します。

在来大豆の栽培を推進する団体が、「GM反対を唱えるだけでなく、非GM大豆で収入を得るモデルをつくって示すことが重要」と言っていたのが印象的でした。日本における大豆畑トラスト運動は、その良い例といえるでしょう。

EU加盟のため」という、強力な外圧があって初めて可能になったことではありますが、非GMへのUターンは可能、というのは大きな希望です。南米諸国などでもそうした動きが出ることを期待したいものです。

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アーサー・ビナードさんのお話しも初めて聞きましたが、ユーモアあふれる巧みな話術でした。以下、わたしにとって印象的だった部分……

・映画グローイングダウトの中の登場人物のセリフで「GMを栽培しはじめてしまうと、Everything changes.すべてが変わってしまう」元に戻れなくなってしまう、という言葉があった。在来のナタネはラウンドアップに耐性がないので、ほかの雑草と同じように、ラウンドアップによって枯れてしまう。作物であったものが雑草と同じになってしまう。これもEverything changesのひとつだ。ことほどさように、すべてが変わってしまう。先人の知恵のすべて、八百万の神が否定されてしまうのと同じことだ。

・日本の固定種は日本民族のDNAそのもの。日本人にとって欠くことのできないもの。日本人の命の源。だから、それを守らなくてはならない。

・それを大企業の脅威から守るためにも、「国家」をきちんと維持すること、民族の自決権が重要だ。

トランプは「国家」がモンサントやゴールドマンサックスのような大企業の奴隷や召使であることを拒否する人。こういう本質的なことが大統領選の争点になったことは今まではなかった、画期的なこと。アメリカ国民は国家をあきらめていない。

また、ロシアのプーチンも企業より国家を上に置こうとしているという点で共通している。

 

国家をあきらめていないアメリカ人。では、日本人はどうでしょう? アーサーさんは特に言及していませんでしたが、日本では「国家」を「国民」と敵対するものととらえ、「国民」ではなく「市民」だと自称し、「国益の追求」とか「愛国」などというと、否定的な反応をする人が多く見受けられます。その根本的な原因も、GHQの占領政策War Guild Information Programにあるとわたしは見ています。太平洋戦争に国民を駆り立てた「国家」と、その被害者となった「国民」という対立構図をつくり、その分断を図るという洗脳工作にはまってしまっているように見えます。(まあ、実際に院内集会などで官僚とやり取りすると、この人たちは国民の敵なんだな、と実感させられることも多々あるので、そう思う気持ちもわからないではないのですが)。とはいえ、「国家をあきらめて」しまっては、国の未来も開けないのではないでしょうかね。

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打ち上げは秋葉原のこまき食堂にて。精進料理がおいしいお店です。山形で大豆畑トラストをやっている農家の方々も来てくださいました。