アメリカの遺伝子組み換え表示を阻む「暗黒法案」が廃案に!


アメリカ下院では2015年7月、「安全で正確な食品表示法(The Safe and Accurate Food Labeling Ac)」が可決されたが、これはいくつかの州で既に可決されている遺伝子組み換え表示義務を求める州法を無効とする連邦法だった。これを批判する人々は、「アメリカ人の知る権利を否定する法 (Denying Americans the Right to Know Act.)」とし、その頭文字を取って「暗黒(DARK)法」と呼んでいた。

この法案自体は上院では取り上げられることなく、その代わりに予算案の中に付加条項として紛れ込ませるような形で通過が画策されていた。

しかし、ついにこの付加条項が予算案から削除された模様だ。この問題に取り組んできたNGOのひとつであるFood Democracy Now!は12月17日に勝利宣言を出した。

Victory!

もうひとつの著名なNGOである食品安全センターのアンドリュー・キンブレル代表は「大変喜ばしい。自分や家族のために買う食品の中身をアメリカ人は知る権利がある。議会がそれを損なわない、と一応決定したことを評価する。予算案の中の付加条項で、表示を義務化する州法を無効にすることは、非常に非民主的なやり方であり、立法上の不正行為以外の何物でもない」と述べている。

背景には、バーモント州が昨年、遺伝子組み換え表示を義務化する法案を通過させ、来年の7月からそれが施行されることがある。この法律の実施を阻止するために、遺伝子組み換え企業の意向を受けたマイク・ポンぺオ議員が中心となり、そうした州法を無効にする連邦法の成立を画策していた。

現在遺伝子組み換えの表示義務がまったくないアメリカで、バーモント州が表示義務化に踏み出すことは歴史的な一歩であり、その実現がこの法案で阻まれることが非常に懸念されていた。まずは一息胸をなでおろして、日本でも表示義務範囲の拡大を求める運動を盛り上げていきたいものだ。

参考:GMO Labeling Advocates Celebrate Demise of ‘Dark Act’ 2015.12.17

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