第9回国際有機農業映画祭ご報告


2015.12.20の国際有機農業映画祭のご報告。

まずは1本目、『種をつぐ人々』。2014年、アメリカ。
タネ、それは命の源、またほとんどの食料の源。アメリカでは自家採種の権利が法律によって禁じられようとしているが、それに対抗してタネを受け継いでいこうと踏ん張る人たちがいる。
アリゾナ州の種の学校、ハドソンバレーの種の図書館、ほかにも種子保存協会、種の放送局、種の青空交換会、食育農園など、各地でさまざまな人たちが在来種の種を受け継いでいこうとしている。

特許をかけられた組み換え遺伝子は数キロ先まで風に乗って飛んで行って、有機農家の畑を汚染する。そのために有機農家は遺伝子組み換え企業に特許権の侵害で訴えられるのではないかと、常にビクビクしていなければならない。訴訟に巻き込まれたら畑も財産もすべて失う。

合衆国憲法には、特許を与えられた発明は、人間社会にとって有益だ、と明記されているが、本当だろうか。特許は開発への投資を回収するために必要なものと思われているが、太古の時代からずっと種はオープンソースだったのではないか。

タネを企業が独占するようになったことで、在来種の多くが失われてしまった。この100年間で90%の在来種が失われたと考えられている。レタスは497品種から36品種に、スイートコーンは307品種から12品種へと激減してしまった。

コーンならコーン、レタスならレタスの中に多様な品種があるということが、本当は重要。何かの害虫が大量発生したとき、あるいは何かの病気が流行ったときなどに、その害虫や病気に強い品種だけが生き残る、という場合もあるからだ。

米国の農家の96%はたった2種のグリーンピースを育てている。約1000種類もあったと思われる古代小麦はほぼ絶滅してしまった。しかし、そうやって品種の多様性が失われるということは、グリーンピースや小麦という種の存続自体を危うくしてしまう。

司法省と公正取引委員会は種の独占を禁じるべきだったのに、それに目をつぶった。そのせいで、1970年には2万件あったタネ屋がなくなってしまい、在来種の多くも失われてしまった。現在では、タネの82%が企業に支配されている。

有機農家の95%は、企業が販売するタネを使っているというのも問題。そうしたタネはもちろん有機栽培されているわけではないし、農薬や化学肥料を使うことを前提に開発されているから、有機でうまく収穫できるとは限らない。

世界で50億トンの農薬が毎年まかれている。遺伝子組み換え作物(その大半は除草剤耐性)の栽培がされるようになってからの約20年間で、除草剤の使用料は100倍に増えた。除草剤には、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の成分である2,4-Dも含まれる。

遺伝子組み換え作物の栽培実験が盛んなハワイのモロカイ島は病人だらけ。栽培のために大量の農薬がまかれるからだ。

遺伝子組み換え作物は健康に問題ない、などという学者もいるが、その昔、たばこは健康に何の問題もない、と多くの医者が言っていたことを見れば、同じ構造だとわかる。時代の経過とともに、遺伝子組み換作物の有害性もそのうち明らかになるだろう。

ヨーロッパでも種の販売は登録した業者にしか許されず、登録料が高額なため、小規模業者はみな登録をあきらめてしまった。それによって古代から受け継がれてきた貴重な品種の多くが失われた。

企業が権利を主張するのは、組み換え遺伝子のみではない。企業は在来の植物の遺伝子を解析し、著しい特徴を生み出す遺伝子を見つけると、それに関しても特許を取る。たとえば、レタスで赤色になる遺伝子など。でも本当はそんなふうな自然に存在するものに特許を認めること自体がおかしい。

しかし、希望もある。アメリカでは、風で運ばれた遺伝子組み換え作物の花粉で在来種に交雑が起きると、遺伝子汚染された農家が逆に特許権の侵害でモンサント社に訴えられる、ということが起こっていたが、1%以下の汚染なら訴えられない、という判例ができた。これは一歩前進。

一時は絶滅しかけた品種にスポットライトが当てられ、数百人の農家よって栽培されるようになるなど、復活に向かう動きもある。タネを守り伝える活動は既に各地で盛んに行われていて、これからもさらに広がっていくだろう。自然を、農を、命を愛おしむ人たちの手によって…。

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予告編の動画はこちらから
残りの映画についてはまた後日!