フランスがGMコーン栽培を禁止


「フランスの遺伝子組み換えコーン栽培禁止令、最終承認

(ロイター2014年5月5日)

フランス議会は5月5日、EU随一の穀物生産国である自国内で遺伝子組み換えトウモロコシの栽培を禁止する法案を最終的に承認した。フランス国内では大多数の人々が遺伝子組み換え作物からつくられた食品に強く反発している。

フランスの上院は、遺伝子組み換えコーンの栽培を禁止する法案を可決した。これは先月下院でも採択されている。仮にEUレベルで承認されたものであっても、環境に対するリスクがある、というのがその理由である。

「この法律は我が国に法的な枠組みをもたらすことを目的にしている。禁止令が適用されることを確実にするためのものだ。」とフランスの農務大臣ステファン・ルフォールは、上院での法案審議開始に際して述べている。

フランスは3月にモンサント社の害虫抵抗性トウモロコシMON810の種をまくことに対する禁止令を採択した。これはEUで唯一栽培が許可されている遺伝子組み換え作物である。

この法律は将来EUレベルで承認されるすべての品種に対して適用される。そこにはデュポンとダウケミカルが共同開発した、遺伝子組換え品種パイオニア1507も含まれる。EUの加盟国28か国のうち19か国において、この承認阻止に必要な票が集まらなかったため、この品種は今年EU政府によって承認される見込みだ。

5月2日、活動家たちは南西フランスの畑を襲撃したが、この畑の所有者は、3月半ばの禁止令が出される数日前にMON810のタネをまいたと報告している、と、農務大臣は述べている。その他に遺伝子組み換えコーンをまいたと申告しているのはたった一人の農家だけであり、スペインで買ったタネを使っている、と大臣は述べている。

数日中に行われる試験の結果、もしこれらの畑に遺伝子組み換え作物が生えていることが確認されれば、その作物は刈り倒される、と大臣は述べた。

これとは別の動きとして、フランスの最高行政裁判所は、フランスの生産者による810コーン栽培禁止令の一時差し止め請求を棄却した。

かつて2011年と2013年には、栽培禁止令には十分な正当性が認められないとして差し止め請求が通ったこともあった。

長年にわたるEU国家間の相違が再浮上している。2月に遺伝子組み換えコーンのパイオニア1507を承認するか否かについての合意に失敗したためだ。これはEU委員会に栽培を認可する道を残すことになった。

遺伝子組み換え作物政策の未来について、EUレベルでの議論は続いており、輪番制のEU議長国を務めるギリシャは、そうした作物を個別に禁止できるようにする権限を各国に与えることで妥協する方向に動いている。」

(出典:ロイター

http://www.reuters.com/article/2014/05/05/france-gmo-idUSL6N0NR2MZ20140505 )

この件は、栽培を拡大し続ける南北アメリカと、輸入にも栽培にも慎重なEUとの対比をより際立たせるできごとでした。

どの国でも、遺伝子組み換え作物の作付を禁止しようとすると、科学者や業界団体などが強く反発するため、法律で完全に禁止することはむずかしく、許可制にして事実上栽培できないようにするのがせいぜいだといわれており、今回のフランスのGMコーン栽培全面禁止には大きな意義があります。

カーン大学の実験結果などが遺伝子組み換えの危険性に対する警戒心を呼び起こし、市民の間で反発が強まっていることが背景として考えられます。

日本では、商業栽培はされていないものの、農水省と環境省によって承認された遺伝子組み換えコーンは既に89種類にものぼっています(4月30日現在)。

日本でも遺伝子組み換え作物のもたらすさまざまな問題を広く周知し、反対運動を盛り上げていくことが望まれます。

(訳・執筆:安田美絵)