第8回検討会ご報告(1)運動の成果とこれからできること


平成30年1月31日、消費者庁の有識者会議「遺伝子組み換え表示制度に関する検討会」第8回の会合が行われました。

今回の検討会での最大の焦点となった問題の結論からまずご報告します。
●「遺伝子組み換えでない」表示の要件は混入率検出限界値以下
●「遺伝子組み換え不分別」の表示義務が課される混入率は5%
●その間については「遺伝子組み換えでないものを分別」の任意表示
となりました。

混入率(1.31結果)

この結果をどう評価するかは意見の分かれるところでしょう。
「遺伝子組み換えでない」と書かれているものが文字通りそうなる、つまり表示の正確さが上がったし、消費者の選択肢が増えたからよかった、という受け止め方もあるでしょう。
わたし個人としては、ただでさえわかりにくい表示制度がますますわかりにくなった、という点で、あまり評価できません。(「遺伝子組み換えでない」と「遺伝子組み換えでないものを分別」という表示を見て、説明を聞くことなしに、その意味の違いがわかる人は誰一人いません。別途教育が必要になるような表示はダメ、とわたしは考えています)
ただ、わたしの最大の懸念であった「遺伝子組み換えに関連する表示のほぼ一切が、市場から消えてしまう」という事態を免れたことは、大いによかったと思っています。
ハガキや意見書を検討委員に送ってくださった皆様、アンケートにご協力くださったみなさま、誠にありがとうございました。

「大量の意見書を送ったんですが、その効果はあったんでしょうか」というご質問をいただきました。
松岡委員は「意見を出してくる消費者は遺伝子組み換え食品の安全性に不安を持っている」など、明らかにわたしたちが出した意見書を意識して発言している様子がうかがえました(いつも検討会は「遺伝子組み換え食品の安全性は確認されている」という前提で話が進んでいきますから、これは特筆すべきことなのです)。そして、「『遺伝子組み換えでない』表示がなくならないギリギリの混入率はどこなのか。それを知りたい」というふうに、わたしたちの希望を実現するための発言を何度もしてくださいました。意見書を送った効果は明らかにあった、といえるでしょう。
夏目委員と澤木委員はおそらく表示の正確性に対するこだわりが強く、「でない」と表示されているからには少しでも含まれていてはいけない、という考えが捨てきれなかったようです。しかしそれと同時に、混入率5%以下のものに関しては「表示なし」ではなく、ちゃんとわかるような表示をすべき、という方向での発言をしてくださいました。
例)澤木委員:「消費者は現在『~でない』表示しか目にしたことがないのだから、それがなくなると戸惑うだろう。「遺伝子組み換えでない」と表示できなくても、ちゃんと分別流通管理されていて、混入率が5%以下の商品に関しては、それがはっきりとわかるような表示にしてほしい」など。
そして、実際に表示がされることになったわけです(わかりにくいとはいえ)。
誰も意見を送らなければ、中間が「表示なし」になってしまう可能性もあったわけですから、わたしたちの運動は、まあまあそれなりの成果をあげた、といえるのではないでしょうか。

「これから何をしたらいいのか」というご質問もいただきました。
次の検討会は2/16。それまでにできることは「遺伝子組み換えでないものを分別」に代わる、よりわかりやすい表現の案を考えて、それを消費者庁に送ることだと考えています。
わたしの案は

A案
「遺伝子組み換えでない(混入率0.01%以下)」
「遺伝子組み換えでない(混入率5%以下)」
というふうに数値で示すことです。しかし、長すぎるという批判が出る可能性があります。また、大豆製品はおおむね0.1%以下の混入なのに、5%と書かれてしまうことに多少の理不尽さも感じます。この場合、それを解消するためには枠外に「遺伝子組み換えの混入は5%以下、平均0.1%程度であることが確認されています」というふうに書くという方法もあるかもしれません。

B案
「遺伝子組み換えでない」
「遺伝子組み換えでないものを選別」
「分別」よりも「選別」のほうが高級感があるためです。
この2番目の部分の表示が消費者にとって選びたくなるような魅力的なものでないと、業者もそのような表示をしようという気持ちがなくなり、そうすると「遺伝子組み換え不分別」でもいいや、というふうになってしまう可能性がありますから、この2番目の表示を魅力的なものにすることは重要なのです。

C案(追記)
「遺伝子組み換えでない」
「ほぼ遺伝子組み換えでない」
説明を聞かなくても意味がはっきりわかる(パーセンテージまではわからないにしても)という点で、今まで考えた中ではこれが一番いいような気がしています。

もっといい案を考え付いた方は、ぜひ消費者庁食品表示企画課宛てにお送りいただければと思います。
消費者庁食品表示企画課 電話:03-3507-9222 Fax:03-3507-9292
〒100-8958 千代田区霞が関3-1-1

第8回検討会のやりとりの詳細についてはまた別途ご報告します。

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